自賠責保険とは|車に必ず必要な強制保険の基本と役割

自賠責保険とは何か

自賠責保険(正式には「自動車損害賠償責任保険」)は、自動車損害賠償保障法に基づいてすべての自動車に加入が義務付けられている保険です。これは、交通事故で他人を死傷させた場合に、被害者への最低限の補償を行うことを目的としています。法律によって加入が義務付けられており、加入していない自動車で公道を走行することはできません。


加入が義務化されている理由

自賠責保険は、交通事故の被害者を救済するための制度です。もし自賠責保険への加入がないまま事故を起こした場合、法律により罰則の対象となります。これは、被害者が十分な補償を受けられるようにするという社会的な仕組みとして定められています。


補償の対象と範囲

自賠責保険で補償されるのは、人身事故による他人の負傷・死亡・後遺障害に対する損害賠償です。
物損事故(他人の財物への損害)や、自分自身のケガ、車両の修理費は補償対象になりません。

補償の目安(被害者1名あたり)

  • 死亡事故:最高3,000万円
  • 後遺障害:最高4,000万円(障害の程度による)
  • ケガ(治療費等):最高120万円
    ※上記は被害者1名に対する支払限度額です。

保険証書と車検の関係

自賠責保険証書は、車検(自動車検査登録)の際にも必要になります。車検を受けるには有効な自賠責保険契約が前提条件であり、車検証と自賠責保険証書は車両に必ず備えておく必要があります。また、公道を走行する場合は保険証書を携行しなければならないとされています。国土交通省


事故が発生した場合の流れ

交通事故が発生した場合、自賠責保険は被害者に直接請求ができる仕組みになっています。被害者は加害者の契約している保険会社に対して損害賠償の請求を行い、支払限度額の範囲内で保険金が支払われます。保険金の一部を仮渡金として先に受け取ることも可能です。


自賠責保険と任意保険との関係

自賠責保険は「最低限の補償」を提供する強制保険であるのに対し、任意保険は加入者が自由に選ぶ保険であり、対物補償や自身・同乗者の補償など、自賠責保険が補償しない範囲を補う役割があります。自賠責保険だけでは補償されない部分をカバーするため、多くの車両所有者が任意保険に加入しています。


まとめ

自賠責保険は、日本におけるすべての車両の運行に必須の制度です。

  • 交通事故の被害者保護を目的に設計されている
  • 人身事故に対して最低限の補償を行う
  • 加入が法律で義務付けられている

という特徴があります。自賠責保険は車検手続きや日常の運転に不可欠な制度であり、制度の基本を理解することは、ドライバーにとって重要です。