2025年の自賠責保険料改定と値上げの可能性

2025年、自賠責保険料の改定が予定されています

車を所有するすべての人に義務付けられている「自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)」。
この保険料は2年に一度見直されており、次回の改定は2025年10月に予定されています。

すでに損害保険料率算出機構では、次の改定に向けたデータ収集と精査が進められており、2024年から2025年にかけて業界内では値上げの可能性も含めた見直し議論が始まっています。


保険料はここ数年「下がり続けて」きたが…

ここ10年ほど、自賠責保険料は値下げの傾向が続いていました。
これは、交通事故件数の減少や、被害の軽減などを背景としたものです。

例えば、2023年の改定では普通乗用車(24か月)の保険料が
27,770円 → 17,650円 まで引き下げられ、大きな話題となりました。

しかし、これ以上の値下げ余地は少なく、**“底を打った”**とも言われています。


なぜ値上げが検討されているのか?

一見、事故が減っているなら保険料も安くなり続けるように思えますが、保険制度の背景には複雑な事情があります。

特に問題とされているのが、1件あたりの事故にかかるコストの増加です。

  • 医療費の高騰(特に後遺障害や長期入院への対応)
  • 介護やリハビリにかかる長期支援費用
  • 交通事故被害者支援機構などへの支出の維持
  • 保険会社の資産運用収益の減少(低金利の影響)

これらの要因により、事故件数が減っても保険制度全体の支出は減っていないのです。


自賠責保険は「営利目的の保険」ではない

多くの方が誤解しがちですが、自賠責保険はあくまで**国の制度として定められた「公的性格の強い保険」**です。
民間の損害保険会社が取り扱っていますが、その運営は厳しく管理されており、過剰な利益が出るようには設計されていません。

それでも制度を維持するためには、支出と収入のバランスが取れている必要があります。
そのため、仮に保険金の支払い総額が増え続ければ、将来的に保険料の引き上げも避けられない状況となるのです。


車ユーザーとして知っておくべきこと

仮に2025年の改定で保険料が上がることになれば、車検時に支払う費用の一部として、ユーザーの負担も増えることになります。

現時点でできる対策としては、以下のような点が挙げられます:

  • 車検時に必要な費用を前もって計画的に見積もっておく
  • 任意保険とのバランスを見直し、必要な補償を見極める
  • 無事故割引や運転特性連動型の保険(テレマティクス保険)も検討する

また、特に若年層や高齢ドライバーにとっては、保険料が家計に与える影響が大きくなる可能性もあるため、制度の変更にアンテナを張っておくことが大切です。


結論:「見えない値上げ」に備える意識を持つことが重要

自賠責保険料は、任意保険に比べると注目されにくい“見えないコスト”ですが、車を所有する限り避けては通れない存在です。

2025年の改定では、これまでとは逆に**「値上げ」が現実的な選択肢として検討されている**可能性があることを、今から知っておくことが大切です。

あらためて、安全運転を心がけながら、制度の動きにも注目していきましょう。